シエラレオネに住んで5年ほど、現地語のクリオ語で会話し、時にティムニ語も話す私です。最近ダイヤモンドに関する仕事のお手伝いをしましたので、シエラレオネの法律やその取引方法についても調べました。簡単にではありますが、以下にまとめます。
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シエラレオネのダイヤモンド問題
ブラッドダイヤモンドと言えばシエラレオネ。
紛争ダイヤモンドと言ってもシエラレオネ。
1991年から2002年までの内戦の資金源としてダイヤモンドが使われたのという歴史的背景があります。ダイヤモンド鉱山の利権をめぐっての紛争でした。
ブラッド・ピット主演のブラッドダイヤモンドという映画を見たと言う人は多いでしょう。
2023年シエラレオネは世界のダイヤモンド産出国中第9位。産出量は52万カラット。
ネット上でシエラレオネのダイヤモンドや金を買う
はっきり言うと、99%が詐欺です。先日、私に日本から日本人の方が連絡してこられました。シエラレオネの業者から金を買ったけど、送ってこない。何とかしてくれ。
結論から言うと、シエラレオネではお金は払った者が負けです。返金は無理な国です。法的手段をとってもお金は帰ってきません。
実際、この時振り込んで銀行口座を教えてもらったので調査しました。その銀行のえらいさんとコネがあったので、口座番号を調べてもらいました。シエラレオネは個人情報保護法とかないので、コネクションがあってお金を積めば情報は開示してもらえます。
銀行のえらいさんの調査で、シエラレオネの会社の詐欺であることが分かりました。それを伝えたのに日本のお金を払った方は納得せずに、シエラレオネまで直接来ると言います。それで、その会社の人と会うから通訳してくれと言うんですよね。
ダイヤモンドや金の取引は危険で、慎重にやらないと殺される可能性が高いです。それで、私はそんな命の危険が及ぶようなことはしたくないのでアテンドしませんというと、日本人はブチ切れて連絡突かなくなりました。そこまで自腹で支払った調査費用まるまんま損しましたよ。
後で詳しく解説しますが、シエラレオネから金やダイヤモンドを持ち出すには、法的な処置をきちんと行う必要があります。海外持ち出し資格がありまして、それを持った人もしくは企業が持ち出し申請をする必要があります。DHLで金を日本に送ると言う時点で法律違反であり、詐欺的手法です。
騙された方は高齢で人の話を聞かないタイプの日本人でした。たんす貯金がたくさんあったのでしょう。身内にそういう方がいる場合はお気を付けください。
キンバリープロセス証明書
シエラレオネの法律でダイヤモンドを国外に持ち出すには必ずキンバリープロセス証明書を発行してもらう必要があります。言い方を変えるなら、キンバリーがないシエラレオネ産ダイヤモンドはすべて違法取引によるものです。
それで、日本人がダイヤモンドをシエラレオネから買うには
1.現地の業者もしくは個人とコンタクトを取る
2.購入したいダイヤモンドを持って、フリータウンにある政府の取引所で納税及びキンバリープロセス証明書を発行してもらう。その際、海外に持ち出す資格が必要。
3.ハンドキャリーで日本へ持ち込み。ただし、シエラレオネから日本へ行くまでに、必ず経由しなくてはいけない国が法律で指定されていますのでご注意ください。
シエラレオネのダイヤモンド輸出業者向け手続き
シエラレオネのダイヤモンド輸出資格は45,000USD/年かかります。(価格はよく変わります)以下は鉱山省サイトにあるダイヤモンド輸出に関する法律の和訳です。
引用:https://www.nma.gov.sl/directorate-of-precious-minerals-trading/
1. 2009年鉱山鉱物法に規定された正当な輸出ライセンスを保持している必要があります。
2. 貴金属鉱物取引局に評価と輸出書類の準備のため24時間前に通知する必要がある。
3. 商品は輸出書類「スケジュール B」に規定された分類に従って提出する必要があります。この書類は、フリータウンのシアカ スティーブンス ストリートにあるシエラレオネ銀行ビル 2 階の貴金属鉱物取引局で受け取ることができます。
4. 輸出者は規定のスケジュール「B」で商品の価値を申告する必要があります。
5. 貨物は輸出者本人または加工業者証明書を所持する名義人が同伴する必要があります。
6. ダイヤモンドの輸出は、キンバリープロセス認証制度 (KPCS) の加盟国に輸出されなければなりません。
7. シエラレオネに輸入されるダイヤモンドには、輸出国からのキンバリープロセス証明書が添付されていなければなりません。
8. ダイヤモンド輸出業者は、3 つの評価額 (輸出業者の評価額、政府のダイヤモンド鑑定士の評価額、独立ダイヤモンド鑑定士の評価額) のうち最も高い評価額が、政府に支払うべき 3 % の輸出税を決定する額であることに留意する必要があります。支払いは、輸出業者がシエラレオネ銀行で行います。
9. ダイヤモンド輸出業者は、評価は認可を受けた輸出業者またはその加工業者、上級鉱山監視官、および国税庁の上級関税官の立ち会いのもとで行われることに留意する必要があります。
10. EU 域外に商品を輸出したいダイヤモンド輸出業者は、ベルギー、ブルガリア、チェコ共和国、ドイツ、ルーマニア、英国の 6 つの指定国を経由して出荷する必要があります。(住所については、貴金属鉱物取引局にお問い合わせください)。
11. EU諸国への輸出を希望するダイヤモンド輸出業者は、飛行日程などの証拠を提示する必要があります。
12. 評価後、商品は輸出者の指示に従って袋詰めされ、箱に入れられ、包装されて封印されます。
13. 評価の詳細を示すシリアル番号付きのキンバリープロセス証明書が発行されます。証明書には、鉱山鉱物資源大臣、政府ダイヤモンド鑑定士、国税庁長官(上級関税官)が署名します。
14. 封印された小包と添付の KPCS 証明書のデジタル写真が撮影され、検証の目的で PMTD 記録に保管されます。
15. KP 証明書、「スケジュール B」のコピー、支払い領収書が封印されたダイヤモンド小包は、すべて、記入済みの封印された税関申告書とともに輸出者またはその処理代理店に引き渡され、国際空港の上級税関職員に提出されます。封印された税関申告書に記載されている情報は、空港の税関職員によって開封され、透明な KP 証明書と「スケジュール B」のコピーの情報と照合されます。
16. KP証明書の有効期間は発行後1ヶ月です。
17. その他の輸出書類のコピーは輸出者に渡され、一部は輸出者自身が保管し、一部は国際空港の関連セキュリティおよび監視機関に配布されます。
18. 輸出準備が整ったすべての貴金属鉱物は国際空港のみを経由しなければなりません。
シエラレオネのダイヤモンド評価の手順
1. すべての輸出者は、輸出開始前に PMT で 24 時間の予約を行う必要があります。
2. 評価は、認可を受けた輸出業者からダイヤモンド原石を受け取ることから始まります。次に、輸出業者が持ち込んだ重量を確認するために、商品の重量を計測します。
3. その後、商品はスケジュール B に規定されたサイズに従ってサイズ分けされます。さまざまなサイズのダイヤモンドは、選別と評価プロセスのために鑑定士間で共有されます。同時に、ダイヤモンド カウンセラー インターナショナル (DCI) のコンサルタントもダイヤモンドを選別して評価し、透明性の目的でカウンター評価チェックとして機能します。各サイズの重量は評価シートに入力され、輸出業者によって署名されます。
4. PMT 職員、DCI (Diamond counsellor international)、および輸出業者からの申告価格による評価が完了すると、価格は評価者によってコンピュータ化されます。3 つの価格のうち最も高い価格が、スケジュール B およびキンバリー証明書と分析シートに最終価格として示されます。
5. 原石ダイヤモンドは、輸出業者と鉱山監視官の立ち会いのもと、鑑定士によって再度計量され、木箱に入れられます。包装された箱には、ディレクター/マネージャー、鉱山監視官、税関職員の署名が記載されます。また、木箱には、鑑定士によって荷受人の住所、ランダム番号、小包番号、小包コード、箱の重量と寸法も記載されます。
6. キンバリー証明書を準備する前に、輸出者は、キンバリー証明書の最終的な署名のための裏付け文書の一部として、入金(銀行取引明細書)を作成します。
7. 輸出業者からの流入は申告書の作成に使用されます。商品の評価価格は、認可輸出業者が預けた外貨の合計金額から差し引かれます。流入は、輸出業者が評価のために持ち込んだ商品の合計価値をカバーする必要があります。
8. 輸出者はスケジュール B シートのコピーを使用して、中央銀行に 3.03 % の輸出税を支払います。輸出者は支払い済み伝票を貿易監査部門に持参し、PMT 領収書が作成されます。
9. 次に、以下の文書が国立鉱物庁に提出され、審査を受けた後、署名者のために鉱山省に提出されます。
閲覧フォーム
有効なダイヤモンド輸出ライセンス
署名入りキンバリー証明書
スケジュールB(最終評価額の入力)とそのコピー
比較評価分析シートとそのコピー
評価額と流入額が均衡している申告書(銀行取引明細書)
商業銀行からの入金または銀行取引明細書
支払った輸出関税の領収書、すなわち3.03%
10. キンバリー証明書のコピーを上記に添付し、審査のため国立鉱物庁鉱山局に送付する。
11. NMA/Mines からの署名済み証明書は、その後オフィスに持ち帰られます。キンバリー証明書は、木箱に入れられたポリエチレン袋に封印されます。輸出業者は、キンバリー証明書のスナップショットを撮ることはできません。
12. キンバリー証明書とスケジュール B のコピーは、封印された証明書と箱とともに輸出者に渡されます。コピーは、ルンギ国際空港の各当局に預けられます。キンバリー証明書とスケジュール B のコピーは、記録目的で PMT に保管されます。
13. 評価プロセスが完了すると、取引および監査部門のマネージャーは、シエラレオネの輸出業者の住所、有効な流入、シエラレオネからの出国日などの有用な情報を輸出業者から収集します。この日付は、シエラレオネからのダイヤモンドの合法的な輸出のためにキンバリー証明書のコピーを預けるルンギの税関で確認する必要があります。輸出業者から収集されたこの情報は、彼らに与えられたキンバリー証明書の偽造を防ぐのにも役立ちます。キンバリー証明書は、国外に輸出されたダイヤモンドの合法性を証明するものです。
シエラレオネの金輸出業者向け手順
ついでに金の国外持ち出しに関する法律も掲載しておきます。ダイヤモンドと金は同じ地層にあり、ダイヤモンドを掘る副産物として金や銀が出てきます。逆もしかりです。シエラレオネの金輸出資格は35,000USD/年かかります。(価格はよく変わります)引用は上記ダイヤモンドと同じ政府サイトからです。
1. 正当な金輸出ライセンスを保持していること
2. 評価を開始するには、PMTDに24時間前に通知する必要があります。
3. 資金源の証拠として銀行取引明細書または入金明細書を提示する必要がある
4. 流入額または銀行取引明細書は輸出額に見合ったものでなければならない
5. その後、輸出業者、鉱山監視官、国税庁(税関職員)の立ち会いのもと、金の分析または評価が行われます。
6. 金はその後、上級鉱山監視員、輸出税関職員、国税庁の立ち会いのもと、純度%を証明するために分析される。
7. 分析後、金は再度計量され、相互チェックされます。
8. 金はその後、全員の目の前で包装され、密封される。
9. 分析後、重量、純度%、ライセンス名とライセンス番号、レオンズと米ドルでの金の価値を示す証明書が発行され、2009年鉱山鉱物法に規定されている通り、3%の輸出税が課せられます。
10. 証明書には、PMTD のディレクターまたはマネージャー兼上級鑑定士、鉱山鉱物資源大臣またはその代理が署名します。
11. ゴールド証明書のコピー 3 部が国際空港の職員に提供されます。
12. 証明書の有効期限は発行後1ヶ月です
シエラレオネの金輸出手続き
1. PMTのマネージャーまたはディレクターに24時間前に通知する必要があります。
2. 到着後、金の鑑定士が金輸出許可証と銀行取引明細書を確認します。
3. 金の輸出は粉塵または金塊の形で行われる可能性がある
4. 必要に応じて、偽金かどうかを検査するために酸性テストを実施します。硝酸が使用されます。
5. 輸出業者、鉱山監視官、税関職員の立ち会いのもと、金コンサルタントまたは鑑定士の1人が金の重量を計測する。
6. 金の重量が台帳に記入され、輸出業者が確認書として署名する。
7. 計算は比重法(SG法)で行われます。
8. ロンドン金価格調整を適用して最終価格を決定する
9. 輸出税を算定するために総額に課される3%の輸出関税
10. 輸出業者、鉱山監視官、税関職員の立ち会いのもと、金の再計量が行われます。
11. 再計量後すぐに、記録のために金の写真を撮影します。
12. 検査後直ちに、輸出者は輸出税を支払う義務がある。
13. すべての関係者の同意が得られたら、金は木箱に入れられ、包装され、鉱山監視官、税関職員、PMT のディレクターまたはマネージャーによって署名されます。
14. ディレクターまたはマネージャーPMTが署名した社内ゴールド証明書が作成されます。
15. その後、書類は審査のため鉱山局(NMA)に送られる。
16. この金証書の最終署名者は、鉱山鉱物資源大臣またはその指定代理人です。
17. 最終的に署名された金の証明書は輸出業者に引き渡され、そのコピー 3 部が空港の鉱山監視事務所、国家安全保障局、関税局に配布されます。
18. このすべての作業が終わると、金の箱と金の証明書のコピーが金輸出業者に引き渡され、フリータウン国際空港を通じて輸出されます。
シエラレオネでダイヤモンドを掘る
シエラレオネでダイヤモンドのマイニングが行われているのが、ボー、ケネマ、コノの三か所。
ダイヤモンドを掘るには、ダイヤモンドマイニング許可書が必要です。
例えば、
小規模採掘の場合、ライセンスあたりの最大許容面積は 100 ヘクタールです。大規模採掘の場合、ライセンスあたりの最大許容面積は 125 km2 です。
小規模ライセンスの場合、申請料は 1,000 米ドルで、1 ヘクタールあたり年間ライセンス料 800 米ドルと、モニタリング費用として年間ライセンス料の 10 パーセントが必要です。採掘ライセンスの授与プロセス全体には、10 ~ 60 営業日かかります。
大規模採掘ライセンスの場合、申請料は 25,000 米ドル、年間ライセンス料は 500,000 米ドル、監視料として年間ライセンス料の 10% がかかります。プロセス全体には約 60 営業日かかります。
事前調査は別途料金がかかります。
上記以外も、マイニングする土地は基本的に買い上げます。
土地の売り買いの権利はパラマンチーフという、昔で言う王様が持っています。
パラマンチーフに会うだけでお金が必要ですし、土地の売り買いに関しても処理をお願いするのでお金が必要です。
ちなみに、フリータウン近郊以外は外国人個人は土地を購入できません。土地を購入できるのはシエラレオネ人か、シエラレオネ法人(100%外資でも可)もしくはその他の例外的事例の資格ホルダーのみとなります。
シエラレオネで法人作るのに300万円くらいかかると見込まれます。
また、ダイヤモンドを外資が採掘する場合、現地への社会貢献が求められます。学校や病院を建てたりするなどです。
シエラレオネのダイヤモンドマイニング見学
シエラレオネでダイヤモンド採掘も購入もする気がないけど、採掘現場を見に行きたいと言う方がおられましたらアテンド可能です。特に最もダイヤモンドを採掘しているコノエリアにコネクションを持っています。以下の費用が掛かります。
・フリータウン-コノ往復交通費
・コノの宿泊費用
・コノ滞在時の食費
・アテンド費用
2025年2月合計1150ドルとなります。
ダイヤモンドや金に関しては、シエラレオネでは危険度が増します。個人でも行けますが、命の危険はありますことをご了承の上、自己責任で行ってください。実際殺されている人もいます。大きな利権が関係した分野で、日本人は現地では目立ちます。汚職警官の類にもお気を付けください。
シエラレオネのダイヤモンドマイニング及び購入お問い合わせ
シエラレオネでダイヤモンドマイニングをしたいというお客様、ダイヤモンド買い付けをしたいと言うお客様や、ダイヤモンド採掘の見学をご希望のお客様は以下のお問い合わせフォームよりご連絡ください。
先に記載しておりますように、それなりの金額がかかります。
資金力のないお客様にはお勧めできません。
また、最近は隣国のギニアでもダイヤモンド採掘がおこなわれています。
ギニアのほうの紹介もできます。
ここまでのご拝読に感謝します。
今後ともどうぞよろしくお願いします。
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